夏の恋
今年の夏、海ですてきな出会いがあった。
私はビキニが恥ずかしいのでワンピース型の地味な水着を着てパラソルの下でカウチに寝ていた。
手元には推理小説。
といってもこれはポーズだ。「私、海でも読書するくらいの本好きなの。異性に興味なんてないのよ」というポーズだ。
本当は完全無料セフレサイトを見たいところだけど我慢している。
女友達は、Eカップの胸を見せびらかすようなビキニ。
しかもヒモで結ぶタイプ。私だったら絶対着れない。
裸も同然な格好で水遊びしてるけど、いかんせん美人でなくイカツイ顔なので、ナンパはされていないようだ。
誤解してはいけない。
私は彼女が好きだ。プリプリした自慢の胸を持ちながら、甘い顔立ちでないためにあまりモテない彼女は、
性格がざっくばらんで明るい。だから彼氏がいたこともあったし、女友達が多かった。
私がそんな女友達をカウチから眺めつつ、しかし大きな胸だなあと感心していると、声をかけられた。
「本好きなの?」その男の子は、程良い栗色の髪をはやりのM字バンクにしているホスト風イケメン。
私は彼に誘われて海の家で焼きそばを食べ、人の少ないところで軽いキスをした。
連絡先は交換することなく、「楽しかったよ。じゃあね」と別れた。
日が暮れると、一緒に来た女友達と合流した。
ひもで結ぶきわどい水着はもう着替えて、ホットパンツとノースリーブのTシャツになっていた。
ウェーブの金髪から磯の香りのする水がしたたり落ちている。
「あ〜あ、何の出会いもなかったわ。私の巨乳ってつくづく無駄だよね。
こんな胸持って生まれたら誰でも期待するっつーの。
あんたは?何か出会いあった?出会い系サイトの方が手っ取り早いかな?」
「ううん、べつに」私は、名前も知らない彼のことを胸にしまっておくことにした。
誰にも教えることのない、秘密の一期一会。

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